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SPL機器の230V環境における使用につきまして

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 SPL製品のユーザーの皆様より、230V環境における製品の使用につきまして、様々にご質問を頂戴しております。こちらの記事では、SPL JAPANとしての公式見解とご注意事項につきまして、ご説明を差し上げます。本文中にも明記致しますが、あくまで知識としてのご案内となりまして、ご紹介内容につきましては、すべて“製品保証対象外”となりますこと、予めご承知おきください。

1. SPL製品における対応駆動電圧について

 SPL JAPANが取り扱うSPL社製品における対応駆動電圧につきまして、製品によりPSEマークにおける駆動電圧の表示が異なっております。一部のStudio製品とProfessional Fidelity製品につきましては、日本国内における通常の家庭用電源電圧であるAC 100 Vにて全ての検証テストを実施しており、PSEマークにつきましてもAC 100 V 50/60 Hzでの表記を行っております。また、Mastering / Studio製品につきましては、AC 115 Vにて検証テストを実施しており、PSEマークにつきましてもAC 115 V 50/60 Hzでの表記を行っております。

 SPL JAPANが保証する製品の安全な使用につきましては、各製品にシールにて貼り付けられているPSEステッカーに記載の電源電圧を基準としておりまして、記載とは異なる条件下にてご使用された場合には、保証期間内でありました場合にも自然故障とみなさず保証対象外と判断をさせて頂きますので、予めご承知おきください。

​ 上述の状況ではございますが、お客様のご判断によりAC 230 VでのSPL機器の運用を行われたい場合に向けて、下記に必要な手順および器具についてご説明を差し上げます。また、製品によりましてはAC 100 V専用にて設計されているものもございますので、まずは製品種別ごとの対応の可否をご確認ください。

1-1. AC 100 V専用設計品

 Studio製品に分類される次の製品については、AC 100 V 50/60 Hz専用設計品となりまして、如何なる昇圧電源にも対応しておりません。製品故障の原因となりますので、AC 100 V以外の電源を接続しないでください。

2Control

Volume 2

Volume 8

SMC

2. 230V電源への昇圧方法について

 日本国内において、AC 230 V電源を使用するには、通常の家庭用電源電圧であるAC 100 Vからステップアップトランスを使用して昇圧する方法と、単相3線式AC 200 V電源からステップアップトランスを使用して昇圧する方法の2通りがございます。

 AC 100 Vからの昇圧については、どのような電源環境でありましても、必要となる器具をご用意頂ければ実現が可能となりますが、一方でAC 200 Vからの昇圧については、200V電源をご使用される環境内に引き込まれるところからの対応と付随する器具が必要となりまして、電源周りの追加工事等が難しい賃貸物件等では実現できない場合がございます。単相3線式の仕組みにつきましては、こちらをご参照ください。

1-2. ユニバーサル電源対応品

 Studio製品に分類される次の製品については、AC 90 - 250 V 50/60 Hz対応品となりまして、ヒューズの交換や電圧切替スイッチ等の操作の必要なく、全ての電源電圧入力に対応しております。尚、製品に同梱している3芯電源コードにつきましては、AC 125V 10Aまでの対応となっておりますので、230V電源などを使用する場合には、本記事にてご紹介する適合品をご用意の上、ご使用ください。

MTC Mk2

Madison

1-3. AC 100-120 / 220-240 V 50/60 Hz 対応品(ヒューズ切替式)

 上述1-1 / 1-2を除く全ての製品は、115Vモード選択時に100-120VACにて、230Vモード選択時に220-240VACにて動作し、電源ヒューズの切り替えによりAC 230 V 50 Hzでの使用が可能となります。1-2における注意事項と同様に、製品に同梱している3芯電源コードにつきましては、AC 125V 10Aまでの対応となっておりますので、230V電源などを使用する場合には、本記事にてご紹介する規格適合品をご用意の上、ご使用ください。

Mastering

Studio

Professional Fidelity

​ヒューズ切替方法(115Vから230V)

​ヒューズ切替方法(230Vから115V)

3-1. メリットについて

 単相3線式AC 200 Vを使用するメリットは、電源のバランス伝送にあります。前セクションにてご説明差し上げておりますが、AC 100 Vの電力線を2本組み合わせることによりAC 200 Vの電源を供給しているため、3芯の電源ケーブルを100 V・100 V・0 V(グラウンド)の分配を行いながら電力の伝送を行っている状況となります。オーディオケーブルにも共通する考え方ではありますが、バランス伝送は外部からのノイズを打ち消しあえる状況を作り出し、よりクリーンな電源伝送を可能とします。そのため、通常の100 V伝送(100 V・0 V・0 V)とは異なり、電源由来のノイズの低減に伝送方法自体がプラスの効果をもたらします。オーディオ愛好家の方・プロの音響エンジニアの方が200 V電源を導入されることを検討する理由は正にこちらになります。

 また、SPL製品に対して昇圧電源を使用されることにより、製品の音質が変化することがございます。これは120 Vテクノロジーを使用している製品において顕著に表れるもので、内部駆動パーツをより安定した電圧で動作させることができるようになることより、最終的な音質・音色が変化するという仕組みとなっており、お客様ご自身の好みによる判断となるかと存じます。​この音色変化については、後にご説明差し上げるAC 100 Vからの昇圧時においても同様の変化となります。バランス伝送については、200 V電源を昇圧元として使用した場合のみでのメリットとなります(電源のリジェネレーター等専用ユニットを組み合わせた場合を除く)。

3-2. 必要条件について

 まず、大前提として単相3線式200 V電源回線をお客様の環境に引き込むことが必要となります。こちらは一部の賃貸物件と分譲マンション、戸建てにて対応可能となります。実際の工事についてはお近くの電気工事業者へ依頼されてください。

​ 加えて、引き込み口に対して合致するコネクタを有するステップアップトランス(入力:200 V/出力:230 V)をご用意いただき、欧州用電源コードによりSPL製品へ接続する必要がございます。昇圧した230 V電源を複数のSPL機器で使用する場合には、対応する電源タップもしくはラックマウント型電源ディストリビューターを組み合わせて使用する必要がございます。230 V対応の電源タップ・ディストリビューターは日本国内で一般には販売されていないため、お客様ご自身で欧州より個人輸入などにより調達頂くことが求められます。その折、PSE認証等はされていない製品であるため、使用上発生した如何なる不具合や損傷については全てお客様ご自身の自己責任となります。

3-3. 必要となる器具について

 必要となる器具のリストアップと参考品について、ご案内致します。リンク先商品につきましては、あくまで条件に適合する一例となりますので、規格が合致していれば問題ございません。

  • ​ステップアップ昇圧トランス - リンク

メーカー:東栄変成器 モデル:2024-2KCG 入力:AC 200 V 出力:AC 200/220/230/240 V

※こちらの製品は入力コードにプラグが付いていないため、L6-20Pなど別途取り付けが必要となります。

※こちらの製品は2000 VA容量であるため、電気用品安全法に基づきPSE非対象品となります。

メーカー:ミスミ モデル:CEE3P-MS-1.8 入力:CEE7 出力:IEC 60320 C13 規格:250 V 10 A

※こちらの製品は欧州向けに製造されたPSE未取得品となり、日本国内での使用は自己責任となります。

  • 欧州規格用電源タップ(複数機器で使用する場合) - リンク

メーカー:九州電気 モデル:#541+NS20 入力:CEE7 出力:CEE7 規格:250 V 16 A

※こちらの製品は欧州向けに製造されたPSE未取得品となり、日本国内での使用は自己責任となります。

  • 欧州規格用電源ディストリビューター(複数機器で使用する場合) - リンク

メーカー:Furman モデル:M-10x E 入力:IEC 60320 C13 出力:IEC 60320 C14 規格:230 V 10 A

※こちらの製品は欧州向けに製造されたPSE未取得品となり、日本国内での使用は自己責任となります。

3. 単相3線式AC 200 Vからの昇圧について

​ 単相3線式AC 200 Vから昇圧する場合には、AC 200 V引き込み口におけるコンセント形状に合致するステップアップトランス(230V出力)と230V対応の欧州規格電源コードが必要となります。欧州規格電源コードおよびステップアップトランスは一般家庭用の製品とはならず、産業用製品を使用する形となりまして、つきましてはPSE未取得品の組み合わせにて実現する手法となります。よって、この条件下における製品の使用は如何なる不具合もしくは損傷が発生した場合にもユーザー様ご自身の自己責任となります。

 AC 200 Vのコネクタには、主にNEMA規格のL6-20R(レセプタクル・コンセント側)とL6-20P(プラグ・ケーブル側)が使用されます。規格としては250 V 20 Aまでの電流に対応しておりまして、例えばブレーカー(分電盤)からAC 100 V 20 Aの電力線を2系統引き込んだ場合には、100 V × 20 A × 2 (系統) = 4000 VAの電流が引き込み用コンセントに到達している状況となり、5000 VAまでの電流に対応しているNEMA L6-20規格のコネクタが適合する形となります。家庭用コンセントにおける電気工事につきましては、電気工事士2種の資格が必要となりますので、必ず専門業者へご相談・ご依頼ください。

NEMA L6-20P

NEMA L6-20R

Type F - IEC C13 電源コード

​出典:雲環集団

4. AC 100 Vからの昇圧について

​ 日本国内の電源電圧であるAC 100 Vから昇圧する場合には、ステップアップトランス(100V入力230V出力)と230V対応の欧州規格電源コードが必要となります。欧州規格電源コードおよびステップアップトランスは一般家庭用の製品とはならず、産業用製品を使用する形となりまして、つきましてはPSE非対象品と未取得品の組み合わせにて実現する手法となります。よって、この条件下における製品の使用は如何なる不具合もしくは損傷が発生した場合にもユーザー様ご自身の自己責任となります。

 ステップアップトランスのコネクタには、入力側にNEMA 5-15端子と出力側にCEE7E端子が使用されます。AC 100 Vコンセントから電源を供給する形となりますので、最大容量は日本のコンセントの規格に基づき、1500 VAまでとなります。また、一般的なステップアップトランスには電源のバランス化は含まれておりませんので、出力電圧については230 V・0 V・0 Vのアンバランス伝送となります。この点が200 V電源からステップアップする場合との大きな違いとなりますが、高電圧の電源をSPL機器に供給することによる音質変化は得られる状況となります。

NEMA 5-15

CEE7E Type F

Type F - IEC C13 電源コード

​出典:IEC

​出典:雲環集団

4-1. 必要条件について

 単相3線式200 Vからのステップアップとは異なり、どのような環境であっても一般家庭用100 V電源より昇圧し、230 V電源環境を構築することが可能です。ステップアップトランスはその電源容量よりPSE対象外品となり、また電源コードについても欧州規格品を使用するため、PSE未取得品を組み合わせる形となります。

​ 昇圧した230 V電源を複数のSPL機器で使用する場合には、対応する電源タップもしくはラックマウント型電源ディストリビューターを組み合わせて使用する必要がございます。230 V対応の電源タップ・ディストリビューターは日本国内で一般には販売されていないため、お客様ご自身で欧州より個人輸入などにより調達頂くことが求められます。その折、PSE認証等はされていない製品であるため、使用上発生した如何なる不具合や損傷については全てお客様ご自身の自己責任となります。

4-2. 必要となる器具について

 必要となる器具のリストアップと参考品について、ご案内致します。リンク先商品につきましては、あくまで条件に適合する一例となりますので、規格が合致していれば問題ございません。

  • ​ステップアップ昇圧トランス - リンク

メーカー:東栄変成器 モデル:TSG-15 入力:AC 100 V 出力:AC 230 V

※こちらの製品は1500 VA容量であるため、電気用品安全法に基づきPSE非対象品となります。

メーカー:ミスミ モデル:CEE3P-MS-1.8 入力:CEE7 出力:IEC 60320 C13 規格:250 V 10 A

※こちらの製品は欧州向けに製造されたPSE未取得品となり、日本国内での使用は自己責任となります。

  • 欧州規格用電源タップ(複数機器で使用する場合) - リンク

メーカー:九州電気 モデル:#541+NS20 入力:CEE7 出力:CEE7 規格:250 V 16 A

※こちらの製品は欧州向けに製造されたPSE未取得品となり、日本国内での使用は自己責任となります。

  • 欧州規格用電源ディストリビューター(複数機器で使用する場合) - リンク

メーカー:Furman モデル:M-10x E 入力:IEC 60320 C13 出力:IEC 60320 C14 規格:230 V 10 A

※こちらの製品は欧州向けに製造されたPSE未取得品となり、日本国内での使用は自己責任となります。

5. 総括

 230 V電源による駆動に対応するSPL製品については、上記の手法によりSPLの所在地であるドイツと同じ電源電圧(AC 230 V / 50 Hz)を使用することが可能となります。60 Hz地域にお住まいの方でありましても、230 V電源を使用することは可能ではございますが、AC 115 V / 60 Hzでのご使用を推奨いたします。

 しかしながら、電源については万一の場合火災の原因となる可能性もございますので、SPL JAPANとしてはあくまで製品本体に張り付けられているPSEステッカーに記載の電源電圧にてご使用されることを前提としております。ステッカーに記載の電圧とは異なる昇圧電源を使用したことによる製品の不具合につきましては、お客様ご自身のご判断による特殊な使用方法と判断をさせて頂き、ご購入から1年以内の保証期間内でありましても有償修理とさせて頂きます。

 こちらの記事はSPL JAPANとしての公式見解をお客様へお伝えするために公開を実施したものであり、230 Vへの昇圧電源での製品使用につきましては、SPL JAPANが定める製品の使用想定環境とは異なるため、個別サポートを含む一切の追加対応は行っておりません。ご理解のほど賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

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